どこまでも青い海と、心地よく吹き抜ける貿易風。常夏の島ハワイで古くから受け継がれてきた伝統的な癒やしに「ロミロミ」という言葉があります。
ハワイの言葉で「揉む、マッサージする」という意味だけでなく、「手から伝わる愛」という深い意味も込められている大切な知恵です。
日々の忙しさの中で、知らず知らずのうちに奥歯を噛み締め、肩を硬く強張らせてしまっている大人の身体。
南国の優しい風が教えてくれる、身体と心の強張りを優しくほどく教えを少し覗いてみませんか。
風や波のように、リズミカルに流れる手
ロミロミの最大の特徴は、手のひらだけでなく、前腕や肘全体を使って、まるで途切れることのない波のようにゆったりと身体を解していくことです。
点ではなく面で捉え、リズミカルに体重を乗せていくその動きは、自然のバイオリズムそのもの。
「凝っている場所を力任せに解きほぐす」という攻撃的なアプローチではなく、ただ波が海岸の砂を優しく均していくように、滞っていたものを流していく。
その穏やかな刺激が、防衛モードでカチカチになっていた脳の緊張を、少しずつ緩めてくれるのではないでしょうか。
心と身体は一つ、という「ポノ」の精神
ハワイの古い教えには、すべてのバランスが整った状態を指す「ポノ(Pono)」という言葉があります。
心が悲しんでいれば身体も硬くなり、身体が疲れていれば心も狭くなってしまう。
ロミロミでは、筋肉のコリをほぐすことと同じくらい、内側に溜まった感情の滞りを手放すことを大切にしています。
「何だか最近、呼吸が浅くなっているな」と気づいたら、それは身体からの小さなサインかもしれません。
身体を労ることは、同時に自分の心を優しくハグしてあげることでもあるのです。
大自然のエネルギーを受け取るゆとり
かつてロミロミを行うヒーラーたちは、施術の前に必ず、自然界のエネルギーと繋がるための静かな祈りを捧げていたと言われています。
大地や海、風といった大いなるものに守られ、自分はただその一部として存在しているという感覚。
現代を生きる私たちは、何でも自分の力だけでコントロールしようと肩を回し、頑張りすぎてしまうことがあります。
けれど、時にはその強がりを一度横に置いて、大きな自然のリズムに身を委ねてみる。
そんな引き算のゆとりが、大人の日常にちょうどいい、軽やかな風を吹き込んでくれます。
今日一日の緊張を、そっと波に還すように
ハワイの島々を包む温かい夜のように、一日の終わりはすべてのこわばりから解放される時間です。
大切なのは、ベッドに入る前に「今日もよく頑張ったね」と、自分の身体にそっと手を当ててあげることかもしれません。
今日一日の緊張の糸をぷつりと切って、こわばった身体をただ重力に預ける。
まぶたの裏に広がる静かな暗闇のなかで、自分の肌が触れているシーツの温もり。
その確かな感触だけに意識を向けていくと、遠い南国の波の音が聞こえてくるかのように、心地よいまどろみの海へと自然に滑り込んでいくはずです。