肌寒くなってきた秋の夜、温かいお鍋や具だくさんのスープを食べたあと、お腹も心も満たされたはずなのにベッドに入ると熱っぽくて寝付けないことはないでしょうか。
「身体は冷えていないのに、足や背中が火照って落ち着かない」「布団をかけると暑いし、剥ぐと肌寒い」と、寝床の中でバタバタと汗をかいてしまうことがあります。
せっかく身体を温めたのに目が冴えてしまうのは、食べたものによる体温の上昇と、秋の寝室温度のバランスがちぐはぐになっているからです。
今回は、秋の温かい食事と寝室温度のミスマッチが起きるカラクリと、身体の火照りをすんなり逃がして朝まで心地よく休むための具体的な工夫を紐解いてみませんか。
料理の熱と消化のエネルギーで、体の「コア体温」が下がりきらない
温かい鍋や汁物を食べると、ぐつぐつ煮立ったスープや具材がもつ直接的な熱に加えて、食べたものを消化分解するときに身体の中で発生する熱によって、身体の深部体温が急激に上がります。
本来、睡眠に入る前は深部体温がスムーズに下がっていく必要がありますが、寝る直前まで体の奥がポカポカしすぎていると、脳が「まだ休む時間ではない」と覚醒モードを維持してしまいます。
さらに秋の寝室は、外気が冷え込んでいるため部屋を締め切りがちになり、体から出た熱が寝具の中にこもりやすくなります。
食べたことによる「内側からの熱」と、秋の寝室の「熱のこもり」が重なることこそが、夜の不快な火照りの正体です。
「熱の逃げ道」がないと、手足からの放熱がストップする
人間がスムーズに深部体温を下げるためには、手先や足先の皮膚表面から熱を外へ逃がす(放熱する)プロセスが欠かせません。
しかし、身体が熱いからといって裸足で過ごしたり、冷気にあたりすぎたりすると、今度は皮膚の血管がギュッと縮んでしまい、かえって熱の逃げ道が塞がれてしまいます。
内側には熱がこもっているのに外へ逃がせない状態が続くと、背中やお腹まわりにじわじわと汗をかき、寝苦しさを生み出してしまいます。
ただ身体を冷やすのではなく、皮膚の血管を開いたまま余計な熱だけをスーッと外へ逃がしてあげる環境が必要なのです。
食べた後の火照りを優しく逃がし、自然な眠りへ着地させる工夫
食事で上がった深部体温を滑らかに下げ、朝まで途切れない静かな休息を手に入れるには、肌表面の通気性を保ち、放熱を妨げない睡眠環境を作ることが大切です。
お鍋や温かいスープを楽しむ日は、就寝の2〜3時間前には食事を済ませ、消化による熱のピークをベッドに入る前に越えさせてあげること。
寝室の温度は少し低めに保ち、布団の中の熱気がスムーズに外へ逃げる空気の流れを作っておくこと。
身につけるものは、身体の中にこもった熱や汗を素早く吸収して逃がす、通気性と吸湿性に優れた滑らかな素材の長袖ウェアを選んであげること。
熱を閉じ込めずにすっと逃がす通り道を作ってあげることで、高まっていた深部体温は自然と下降し、深い睡眠へ引き込まれていきます。
今夜は火照りをうまく逃がして、心地よい朝を迎える
「お腹いっぱい温まったのに眠れない」とベッドの中で焦るのをやめて、今夜はただ、身体から逃げていく熱の余韻に意識を向けてみるのはいかがでしょうか。
お腹の奥のぬくもりが肌の表面からスーッと空気中へ溶けていき、火照っていた身体が静かに落ち着いていく心地よさ。
熱や汗を余計に溜め込まない服の中で、全身の力がフッと抜けていく素直な感覚。
身体の内側の熱を上手に手放して横になるとき、私たちはきっと、秋の夜長に深く潜り込むような穏やかで気持ち良い時間を過ごせるはずです。