秋の夜長、香ばしく焼き上がった脂ののった秋刀魚(さんま)に塩や醤油をちょろっと垂らし、スダチを搾っていただく夕食は本当に至福のひとときです。
お腹も心もすっかり満たされて満足感とともにベッドに入ったものの、夜中にふと喉の猛烈な渇きで目が覚めてしまい、枕元の水に手を伸ばす…ということはないでしょうか。
「秋刀魚が美味しすぎて食べすぎたかな」「お酒を飲みすぎたせいかな」と後悔しがちですが、実はこれ、秋刀魚の豊かな「脂」と「塩分」が体内で引き起こす物理的な脱水と体温変化が原因です。
今回は、美味しい秋刀魚を堪能した夜に起きる「夜中の喉の渇き」のメカニズムと、途中で目を覚まさずに朝までぐっすり休むための工夫を紐解いてみませんか。
脂と塩分のダブルパンチが、寝ている間の水分を奪う
旬の秋刀魚の脂は旨味が詰まっていて最高ですが、身体がその豊富な脂質と塩分を分解・代謝するためには大量の水が必要になります。
食後に消化が始まると、血液中の塩分濃度や脂質の濃度を薄めようとして、体内の水分が優先的に胃腸へと集められます。
さらに、人間は寝ている間だけでもコップ1杯分(約200ml)の汗をかいて体温を下げようとするため、体内の水分はWで不足した状態になります。
寝入ってから数時間後、血中の水分バランスが限界を迎えたタイミングで脳が「水を出せ」と強力な警戒アラートを出すことこそが、あの夜中の猛烈な喉の渇きの正体です。
消化の熱で深部体温が下がりきらない
秋刀魚のように脂質とタンパク質が豊富な食材は、胃腸で消化される際に「食事誘発性体熱産生」という熱を長時間発生させ続けます。
本来、深い睡眠に入るためには体内の中心温度(深部体温)がスーッと下がっていく必要がありますが、身体の奥で消化の熱が作り出され続けていると、体温が下がりにくくなります。
体温を下げるために身体はさらに汗をかこうとし、その結果ますます体内の水分が失われて喉が渇くという悪循環に陥ってしまうのです。
口の中に残る濃厚な余韻と美味しさの裏側で、体内ではフル稼働で代謝が行われ、水分の奪い合いが起きています。
美味しい余韻を保ちつつ、朝までぐっすり休むための工夫
美味しい秋刀魚を味わった夜に、喉の渇きで目を覚ますことなく深い休息へ着地するには、就寝前と寝室環境で水分の巡りをサポートしてあげることが大切です。
夕食時に秋刀魚を楽しむ際は、一緒にいただく大根おろしやスダチの水分をしっかり摂りつつ、食後から就寝前までの間に常温のお水やカフェインの入っていないお茶をこまめに補給しておくこと。
寝る直前に一気に水を飲むと胃に負担がかかりトイレで起きることになるため、ちびちびと体内へ染み込ませるように水分を渡してあげるのがコツです。
身につけるものは、消化熱によるうっすらとした汗をすばやく吸収して逃がし、体熱を適度に放出できる通気性と吸湿性に優れた滑らかな素材の長袖ウェアを選ぶこと。
肌表面をサラリと保ち、身体の外側の熱ごもりを防いであげることで、体内の脱水ストレスは和らぎ、夜中の覚醒を防ぐことができます。
今夜は体内の巡りを整えて、穏やかな眠りへ入る
旬の味覚を心から堪能したあとは、「夜中に起きるかも」と身構えるのをやめて、今夜は優しく水分を巡らせながら身体を休めてみるのはいかがでしょうか。
口の中に残る豊かな旨味の余韻を感じながら、常温の水がじんわりと喉と体に染み渡っていく心地よさ。
汗や熱を余計に溜め込まない服の中で、全身の緊張がフッと解けていく感覚。
身体の中の巡りを整えて素直に横になるとき、私たちはきっと、夜中の喉の渇きに邪魔されることなく、朝まで静かで気持ちの良い睡眠を過ごせるはずです。