汗ばむほど暑い一日を過ごしたはずなのに、布団に入るとお腹のあたりがひんやりと重たく感じる夜はないでしょうか。
真夏なのに靴下を履きたくなったり、湯船に浸かりたくなったりするのは、決して気のせいではありません。
実は東洋医学の考え方では、冷えは冬だけの現象ではなく、むしろ冷房が効いた夏にこそ、内臓のあたりに冷えが溜まり込みやすいとされています。
外気は暑いのに、身体の中心部だけがひんやりとしている、いわゆる「隠れ冷え」の状態です。
今回は、夏特有のこの内臓の冷えと、それが眠りに与える影響を紐解いてみませんか。
冷房の風がお腹を直撃し続けることで起こる、巡りの滞り
身体の中を巡っている血液は、冷たい風に長時間さらされ続けると、うまく流れきれずに滞りがちになります。
夏場は薄着で眠ることが多いうえ、寝室のエアコンが一晩中お腹まわりに冷たい風を送り続けるため、内臓のある腹部が真っ先に冷やされてしまいます。
顔や手足はまだ夏の熱をわずかに残しているのに、お腹に手を当てるとひんやりしているという状態は、この巡りの滞りが起きているサインです。
猛暑の中で汗をかいているはずなのに身体の芯だけが冷えているという、一見矛盾した状態が夏にこそ起こりやすいのです。
お腹の冷えが眠りを浅くする、意外なつながり
胃腸をはじめとする内臓は、食べたものからエネルギーを取り出し、全身に届けるための血をつくり出す働きを担っています。
この働きが冷房による冷えで弱まってしまうと、身体を落ち着かせるために必要な血の巡りが不十分になり、気持ちがそわそわと落ち着かない状態に傾きやすくなります。
寝つきが悪い夜や、夜中にふと目が覚めてしまう夜の裏側には、この内臓の冷えによる巡りの悪さが隠れていることが少なくありません。
真夏に冷房病と呼ばれる不調が眠りの質にまで影響しやすいのは、冷えの発生源が外気ではなく、風に直撃され続けたお腹の中心部にあるからです。
冷房の設定温度ではなく「お腹の風よけ」という発想の転換
夏の内臓の冷えに対して大切なのは、冷房の温度を無理に上げることよりも、お腹そのものを風から守り、直接温めるという発想です。
腹巻きや薄手のブランケットをお腹にだけかける、あるいは就寝前に常温より少し温かい白湯をゆっくりと飲むといった方法は、外の暑さを我慢することなく内臓の冷えだけをピンポイントで防ぐ手段になります。
冷房の風がお腹に直接当たらないよう、送風の向きを壁側に変えるだけでも、腹部にこもる冷えは大きく変わってきます。
涼しさを手放さずに、内臓だけをそっと守るという引き算の工夫が、夏の夜には求められているのです。
今夜は、涼しさとお腹の守りを両立させてみませんか
夏の冷えに共通しているのは、外の暑さを我慢するのではなく、風の当たり方をコントロールするだけで解決できるという点です。
今夜は、冷房の温度設定に神経質になるのをやめて、お腹の上にだけ薄い一枚を乗せてみるのはいかがでしょうか。
涼しい空気は肌の表面で受け止めながら、内臓だけはそっと守られているという心地よさに、意識のピントを合わせていく時間です。
外側は涼しく、内側は穏やかに温かいというちょうどいいバランスのなかで、眠りは自然と深まっていくのではないでしょうか。