ベッドに入ってから深く息を吸おうとしても、なぜか胸のあたりが突っ張って、空気が奥まで入っていかない感覚はないでしょうか。
「リラックスするために深く呼吸をしよう」と思っても、物理的に身体のパーツが硬く縮こまっていては、呼吸を深くすることはできません。
浅い呼吸の原因は、自律神経の乱れだけではなく、実は肋骨の隙間にある小さな筋肉の強張りにあります。
今回は、知っているだけで今夜から呼吸が楽になる、肋骨まわりのメカニズムと簡単なほぐし方を紐解いてみませんか。
鳥かごのように動く、肋骨の隙間のジャバラ構造
私たちの肺は、それ自体が自力で膨らんだり縮んだりする筋肉を持っていません。
肺を囲んでいる鳥かごのような肋骨の隙間を、一対 of 肋間筋(ろっかんきん)」という薄い筋肉がジャバラのように伸び縮みさせることで、初めて空気が中へと入ってきます。
しかし、日中にデスクワークやスマートフォンの画面を凝視し続けていると、前かがみの姿勢のままこのジャバラが完全に縮んだ状態で固まってしまいます。
これでは、いくら頭で「深く吸おう」と意識しても、胸の容積が物理的に広がらないため、呼吸はどんどん浅くせわしなくなっていくのです。
つかんだ両手が、左右に「3センチ離れていく」ように吸う
この固まったジャバラをほぐすために、グイグイと体をひねるような難しいストレッチは必要ありません。
まず、ベッドの上でリラックスした状態で、両方の脇腹を、親指が後ろ、残りの4本の指が前になるようにガシッと横から挟み込みます。
ここからが一番大切な動きです。
挟んだ手のひらで、左右の肋骨をギュッと内側に少し押し潰すように圧をかけたまま、鼻から息を吸い込んでみてください。
このとき、お腹を膨らませるのではなく、押し潰された肋骨が空気の力で内側から押し返され、挟んでいた右の手のひらと左の手のひらが、左右真横にすうっと「3センチずつ離れていく」ように動けば大正解です。
外から引っ張るのではなく、内側からの空気の圧力で、縮んだ隙間を1ミリずつ押し広げていくリアルな手応えが掴めるはずです。
吐く息を4秒長くするだけで、胸が勝手に緩んでいく
肋骨を内側から広げたら、今度は吸った時間の倍くらいの長さをかけて、口から細く長く息を吐き出していきます。
目安としては、4秒かけて吸ったら、8秒かけてゆっくりと吐ききっていくイメージです。
左右に広がっていた両方の手のひらが、息が抜けるのと同時に、また元の位置へとゆっくり近づいていくのを手のひらで感じてください。
人間の身体は、息を最後までしっかりと吐ききったときに、肋骨が一番小さく閉じて、まわりの筋肉がふっと弛緩するように設計されています。
この「吸って広げ、吐いて緩める」という動きを、胸の横側に手を当てたまま3回から5回、約1分間繰り返すだけです。
たったこれだけの作業で、硬く固まっていた胸の鳥かごが柔軟性を取り戻し、驚くほど滑らかに動き始めます。
今夜は胸のジャバラを伸ばしてみませんか
日中の緊張や長時間の同じ姿勢によって、私たちの身体は思った以上に外側からしめつけられた状態になっています。
夜、眠りにつく前の時間は、そんな縮こまった身体のパーツを、1つずつ本来の遊びがある状態へと戻してあげる時間です。
時計の数字を気にするのをやめて、ただ1分間だけ、自分の肋骨が水風船のように大らかに膨らみ、しぼんでいく動きに意識のピントを合わせてみる。
胸のジャバラが柔らかく広がるスペースが生まれたとき、吸い込まれた空気はお腹の底までフラットに届くようになります。
内側の空気の通り道がすうっと整っていく心地よさのなかで、高ぶっていた頭の中は静かに凪いでいき、穏やかな休息の時間へと自然に引き込まれていくのではないでしょうか。